認知症とは

認知症は一度正常に発達した認知機能が脳や身体の疾患などによって障がいされ、日常生活や社会生活に何らかの支障を来してしまっている状態であり、加齢によって生じてくるようなもの忘れとは異なります。つまり、さまざまな機能を有する脳の神経細胞が通常の老化よりも早く失われてしまうことで脳の働きが阻害されてしまい、現存する能力が低下していき、それまでできていたことができなくなる、新しいことを覚えることができなくなるといった状態を呈する病気だと言えます。

認知症の中には原因となる病気を適切に見極め、それに応じた治療することでその症状を軽減できるものもあり、出来る限り早い段階から治療を開始したほうがより良い効果を望むことができます。

そして、認知症は誰でもかかる可能性のある病気であるからこそ、早期からの診断及び治療や予防が非常に重要です。認知症に対する偏見などを持たずに冷静に対応するためにも、その病状などを十分に理解することが大切です。

認知症

認知症の種類

認知症はその原因となる病気によって、脳の障がいされる部分が異なるため、現れやすい症状や進行の速度などが異なります。それぞれの違いを理解することは今後の対応を考えて的確に判断するにあたって重要なことです。

疾患名 特徴 原因
アルツハイマー型
認知症
  • 発症時期がはっきりとしない
  • 記憶障がいが目立ち、しだいに日常生活に支障をきたす
  • 年数をかけて徐々に進行する
  • 我が国では一番多くみられる
脳の中に「βアミロイド」というたんぱく質が通常の老化以上に蓄積し、脳細胞の働きが損なわれてしまう。また、脳全体に変化した神経線維の束が蓄積し、正常な脳神経細胞が活動できなくなる。
血管性認知症
  • 脳のうち、どこの部分が障がいされたかによって症状が異なる
  • 発症時期が比較的はっきりしている
  • 記憶障がいよりも実行機能障がいが目立つ
  • 段階的に症状が進行する
脳の血管が詰まる、血管が破れて出血するなどの異常が起き、脳の機能が失われてしまう。
レビー小体型
認知症
  • 日によって症状の変動の幅が大きい
  • 「動物が見える」などの幻視がみられる
  • 手足のふるえ、小刻み歩行などがみられる
  • 女性よりも男性に多くみられる
脳の大脳皮質の広い範囲で神経細胞内に「レビー小体」が出現する。
前頭側頭型
認知症
  • 衝動性や反社会的、反道徳的な行動がみられる
  • 毎日同じ場所へ出かけるなどの常同行動がみられる
  • 人格、性格の変化がみられる
  • 比較的若い年齢で発症する
脳の前頭葉と側頭葉を中心に萎縮が起こる。

老化による物忘れと認知症による物忘れの違いの例

老化による物忘れ 認知症による物忘れ
体験したことの一部分を忘れる 体験そのものを忘れる
物忘れを自覚している 物忘れを自覚していない
きっかけがあると思い出せる きっかけがあっても思い出せない
時間や場所はわかる 時間や場所がわからない
短期間では進行しない 進行することが多い
生活に大きな支障はない 生活に大きな支障がある

認知症は早期発見・早期治療が重要!

ご本人が尊厳を保ちながらその人らしく生活できるようにし、また、ご家族だけで抱え込まないようにするためにも、「最近、何かおかしいな」と感じたら、早めに相談し、受診に結びつけるように心がけましょう。

※認知症は加齢に伴って生じる老化現象とは異なります。 認知症の原因となっている疾患によっては、早い段階で発見・治療をすることで、その進行を遅らせることができる場合があります。

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