認知症トピックス : 行動・心理症状(BPSD) ~その2 幻視~
レビー小体型認知症の場合、記憶障害などはあまり目立たず保たれた状態で、症状として「幻視」が活発になることがあります。
具体的には玄関に犬がいる、ベットの横に猫がいる、男の子が階段にいる、ゴミが虫に見えるなど、リアルな幻視があります。出現したり消えたりなども繰り返しますので、ご本人にしてみれば困った状態となります。ご家族や介護者も見えない物が見えてしまうという状態に初めは戸惑うことでしょう。
しかし、本人にとっては本当のことなので、否定すれば傷ついてしまうことになり、否定が強いと更なる他の症状(暴言等)を助長することにもなりかねません。
本人が幻視を怖がっている場合には、追い出す振りをしながら声を掛けるなど、態度や言葉で示すことにより、見えているものが本人の中からいなくなることも多いようです。 本人が怖がらないようなものであれば、状況にもよりますが否定せず、肯定して話を合わせる方法も良いでしょう。
このように、対応については「否定でなく共感」がポイントとなります。
行動・心理症状が活発になりますと、ご本人のみならず、家族の日常生活に支障をきたし維持できない状態になることもあります。治療による改善の可能性も大きいですので、「早めに医療機関に相談」しましょう。
実際の相談としては、部屋に落ちている小さなゴミが虫に見えるようで、虫を手で払ったり、捕まえようとしている行為が一日中続いている。かかりつけ医に相談したら、すぐに専門病院で診てもらうよう勧められ~というような具体的なものが多くなっています。
また、認知症では幻聴は稀と報告されていますが、症状の出現には個人差がありますので、客観的によく観察することが必要です。