今まで紹介してきた中核症状には、失行・失認・失語という症状もあり、個人差はありますが資質や環境などの要因により出現することもあります。

失行とは、身体に麻痺などはないが、日常の動作が苦手になってくる症状です。
具体的には、日常生活で繰り返し行ってきていた動作が苦手になったりできなくなってきます。ボタンやベルトを締められなくなったり、洋服が着れなくなることもあります。
例えば、洋服を着るのは理解しているが、どの順番に着るのかわからなくなりズボンを着ようとしたりシャツを履こうとしたりズボンの上に下着を履いてしまったりすることもあります。また、使い慣れている道具の使用が扱いがぎこちなくなったり、歯磨きをして水で口をそそぐなどの、いくつかの動作からなる行為が出来なくなることもあります。

失認とは、目や耳や鼻などに異常がないが、物体の位置や物体の認知が出来なくなってくる症状です。
例えば、机の上にあるペンがわからず、形や大きさも認識できなくなることがあります。また、日ごろよく散歩している公園がわからなくなってしまったり、方向や道順も同様の状態になります。

失語とは、聞く・話す・読む・書くといった機能が低下してくるために起こる症状です。
話を聞き、話を理解し、それに基づいた返答を相手に伝えるということが出来なくなってきます。
例えば、言葉が思い出せなかったり、あれ・これ・それなどの代名詞の会話ばかりになることもあります。
言葉は認知できても、言語理解が出来なくなると「おうむ返し」も増えてきます。

このような症状が出現したらご家族など周りの方も慌ててしまうかもしれません。
しかし、一番困っているのは、ご本人です。
「さりげなくフォローすること」により日常生活を維持させながら、ご本人の尊厳も守ることが出来ます。