認知症トピックス : もの忘れと記憶
「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」別のものです。
記憶とは何でしょうか?
記憶とは、
- 記銘(情報を学習し覚える)
- 保持(その情報を記憶として頭の引き出しにしまう)
- 再生(必要に応じその情報を頭の引き出しから出して利用する)
といったシステムで成り立っており、これを日常的に繰り返して生活しています。
加齢によるもの忘れは、③の機能が低下することで、
頭の引き出しを開けることに時間がかかるようになる状態です。
この場合、自分が引き出しから出せないこと(忘れていること)を自覚できます。
日常生活に大きな支障はなく、記憶の部分のみ障害され、
他の症状が現れることはありません。
認知症によるもの忘れは、
- が低下することで、その場では何とか覚えられるものの、
その直後より時間の経過に伴い記憶が抜け落ちることが原因となります。
起こった出来事や自分の言動についての記憶が抜けてしまうため、
頭の引き出しには入れることはできません。
一方で自転車の乗り方や、家事、趣味活動など、
身体で覚えた記憶は認知症の症状がある程度進まないと阻害されないことが多いです。
よく、「昔のことは覚えているのに」と聞きますが、
- の機能に支障があるものの、③ の機能は保たれているため、
昔のことなどは思い出すことができるといった理由です。
認知症のもの忘れは、最近のことを覚える記憶力(短期記憶)から落ち始め、
徐々に昔の記憶(長期記憶)も曖昧になり、
身体で覚えた記憶(手続き記憶)の低下という順に進んでいきます。