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認知症トピックス : 肯定の対応

認知症に罹患すると、ご本人の日常生活において苦手になることは増えていきます。また、記憶障害により最近の記憶(短期記憶)が阻害されることが多くなり、かなり昔の出来事が今のことと思われてしまっていることも少なくありません。

相談を受けていると以下のような話がありました。
1年ほど前から、もの忘れが目立ち始めた女性。50代の同居する息子さん(認知症には理解があります)が仕事から帰宅すると、母親から「お弁当美味しかった?学校のプールは楽しかった?」と聞かれました。
他の家族は困惑したそうですが、息子さんが「すごくおいしかったよ、プールもたくさん泳げたよ」に安心した顔をなさっていたそうです。その後、ご家族は母親への対応について共有しようと話し合ったとのことです。
このように、基本的には否定の言葉は使わない方が良いでしょう。(弁当なんか持って行ってない、プール?いつの話をしているの、孫の話じゃないの など)
ご本人にとっては大真面目で息子さんに聞いているので、否定しても理解が難しくなっています。
混乱・不安感のみが残ってしまいます。

認知症の方への対応として発言は否定しない、叱らないというのが大原則です。
行動も同様です。否定せずに受け入れる態度が必要ですが、行動に危険が伴う場合(火のつけっぱなし、信号無視での道路横断、洗剤や貴金属を口にするなど)は大変危険です。こういった危険を伴う行動が見られる場合は対策を講じる必要があります。
それはご家庭だけでは解決は難しい場合もあります。
認知症の状態、個々のケース、ご家庭の事情により対応方法も異なってきますので、ケアマネさん、地域包括支援センター、専門医療機関などに相談しながら方法を考えていくことが良いでしょう。