認知症トピックス : 行動・心理症状(BPSD) ~その3 暴言・暴力~
「認知症の在宅介護をしていますが気に入らないと暴言、さらに物を投げられたりすることがあります、温厚だったのに怒りっぽくなっていて、どうしたらよいか…」というような相談がよくあります。
このような行為に至る過程をお聞きしますと、「話が理解できなくて~、自分を否定した~」というような出来事が発端になっていました。
認知症は症状が進むと、全般的な記憶力や認識力、判断力も落ちていくことは理解しておきましょう。
一例として、考えさせるような曖昧な話は避け、より丁寧なわかりやすい言葉で話し、スキンシップを取りながらの会話など、日頃から意図的に行うことが出来ていればリスクは下げられるでしょう。
人は脳の機能により感情は抑えられますが、認知症の方の場合、この抑えが難しくなり感情がそのまま出てしまうことが多いようです。他人の表情や言葉に敏感になっていますので、スイッチが入りやすくなっています。
ご本人は、物事が苦手になってきた焦り、家族の言動がうまく理解できない不安、孤独な気持ちなど、様々な葛藤があることでしょう。 家族もお困りでしょうが、本当は困っているのは本人なのだという考え方は大切です。症状のみに焦点を当てても解決することは難しいでしょう。 そして何より日々の様子をご家族・介護者で共有しておくことが大切です。
認知症のタイプによっても、暴力や暴言の出現の仕方は異なります。
レビー小体型認知症の場合、幻視が原因で暴力に至ったり、前頭側頭型認知症の場合は、性格変化により荒っぽくなったり、こだわりの行動を止められた時に暴力に至ることもあるようです。
暴言・暴力が出現した場合、まず深呼吸して落ち着きましょう。
対応としては、ご本人のスイッチの入る原因をより少なくしていく方法が良いです。ケースにより方法も異なりますので、担当のケアマネさんや地域包括支援センターなどに相談することもお勧めします。
場合により早期の医療介入の必要性もあります。
当センターでも相談に応じております。