お知らせ・トピックス

認知症トピックス : もの忘れと記憶について

前回のトピックスでも紹介しましたが、加齢によるもの忘れと認知症によるものは全く別のものです。
「記憶」の中身を見てみましょう。
記憶は①記銘(情報を学習し覚える)②保持(その情報を記憶として頭の引き出しにしまう)③再生(必要に応じその情報を頭の引き出しから出して利用する)から成り立っています。私たちは、これを繰り返しながら生活しています。

加齢によるもの忘れは、③再生機能が低下することで、頭の引き出しを開ける時間がかかるようになります。この場合、自分が引き出しから出せないこと(忘れている)に自覚を伴います。そして日常生活に特に支障はなく、記憶の部分の障害のみで他の症状が見られることはありません。

認知症によるもの忘れとは、繰り返しお伝えしておりますが、物事を覚えられないことにより様々な「もの忘れ」エピソードが出現します。これは①記銘が落ちてくること(その場では何とか覚えられますが直後より時間の経過で記憶が抜け落ちます)が原因となります。起こったことや自分の言動についての記憶が抜けてしまいますので、頭の引き出しには入れることはできません。

また、自転車や楽器、裁縫、家事、趣味活動など身体で覚えたような記憶は認知症の症状がある程度進んでも阻害されないことも多いです。①記銘には支障をきたしますが、③再生機能は残っているため、昔のことなどは思い出すこともできるのです。
認知症のもの忘れは、短気記憶(最近の記憶)から落ち始め、次第に長期記憶(昔の記憶)も曖昧になり、身体で覚えた記憶(手続き記憶と呼ばれています)の順に進んでいきます。