認知症トピックス : 行動・心理症状(BPSD) ~その1 妄想~
先月は中核症状について紹介してきました。今回からは、それに付随して出現しやすい行動・心理症状(BPSD)「困った症状」について紹介していきます。
様々な困った症状がありますが、何度も申し上げますとおり出現しない場合もあり、認知症の方の生活歴、性格、現在の環境、未治療や治療中の疾患などに左右されることが多いです。
「行動・心理症状(BPSD)は出現しないことがあるのです。」
ごく1例ですが、その方の尊厳を大切にし日常生活の充実を心がける、環境を極端に変化させない、使い慣れた物はそばに置いておく、話をよく聞く、会話を多く、笑顔も多く、などが挙げられます。
日常の介護はとても大変であることは承知しております。その上での心構えとして頭の片隅に置いていていただければ幸いです。
更に、かかりつけ医や介護機関、当センターなどの専門医療機関とのパイプを継続的に持っておられたら、安心ですし、いざという時も落ち着いて行動できるのではないでしょうか。
今回は「妄想」について触れてみます。
「妄想」とは、本人に間違えた思い込みがあり、それを訂正できない症状です。事実を話しても、妄想と思っていないので訂正は困難です。したがって、不安を解消に向かせるためにも共感が必要となってきます。
代表的な例としては、もの盗られ妄想。
財布、印鑑、通帳などのしまった場所を忘れてしまい、「盗まれた」と思い込むことにより症状が出現します。
困るのは、介護をしている主介護者などが疑われることが多いことで介護者の心労となります。懸命に介護をしているのに、盗ったと疑われて傷つき、介護が嫌になってしまうことも現実にはあります。
これは、認知症の症状だと割り切り、怒ったり否定せず、不安に耳を傾け、「一緒に探しましょう」と言って一緒に探し、(意図的に場所を把握しておいたり、いくつか同じものを準備しておいたり、置き場所がわかるなら、そちらに誘導して自分で発見してもらうなどの例は良く聞くことです)見つかれば本人も納得することもあります。
しかし、その状態が連日続くと、ご家族・介護者は疲弊してきますので、決して抱え込むことのないようにしましょう。
症状が活発になると家族のみの対応だけでは難しくなりますので、関係機関への早期相談が必要です。
もちろん、当センターでも相談に乗っております。